法隆寺 (奈良県) の見どころとアクセス方法
法隆寺は、奈良県生駒郡斑鳩町にある聖徳宗の総本山の寺院です。607年に推古天皇と聖徳太子によって創建されました。火災で一度は焼失しましたが、約1300年前に再建され、現存する世界最古の木造建築群となっています。法隆寺は姫路城と共に日本で初めてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
この記事では海外および国内からの旅行者の方向けに、法隆寺の見どころとアクセス方法についてご紹介します。
(Last modified: )
Table of contents
法隆寺の見どころ
法隆寺の見どころについてご紹介します。
南大門
南大門は法隆寺の玄関とも言える門です。参道を通って法隆寺に入るときに最初に通る門です。法隆寺創建時には、現在の中門の付近にあったそうですが、境内の拡張に伴って現在の位置に移動しました。現在の門は1438年に再建されたものです。国宝に指定されています。
中門
南大門を通ると正面に見えるのが西院伽藍(さいいんがらん)と呼ばれる世界最古の木造建築物群です。この西院伽藍の入口となるのが中門です。中門の柱はエンタシスの柱と呼ばれるもので、中央部分が太く、上にいくほどに細くなっています。国宝に指定されています。なお中門は現在通ることができないため、西院伽藍へは別の入り口から入ります。
中門には左右に塑造(そぞう)で造られた金剛力士立像(こんごうりきしりゅうぞう)が安置されています。高さはどちらも約380cmで、右側にあるのが阿形(あぎょう)、左側にあるのが吽形(うんぎょう)です。重要文化財に指定されています。
金堂
金堂は西院伽藍の中で最も重要な施設です。現在の金堂が再建された年は正確には分かっていませんが、資料などから693年よりも前に再建されたと推定されており、世界最古の木造建造物です。
堂内には釈迦三尊像(しゃかさんぞんぞう)、薬師如来像(やくしにょらいぞう)、阿弥陀三尊像(あみださんぞんぞう)、吉祥天立像(きちじょうてんりゅうじょう)、毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅうぞう)、四天王立像(してんのうりゅうぞう)などのいずれも国宝の仏像が安置されています。
金堂では飛鳥建築の特徴である卍崩しの高欄(まんじくずしのこうらん)や人字形割束(ひとじがたわりづか)が使われています。エンタシスの柱も含めて中門や五重塔でも同じように使われています。
五重塔
法隆寺の五重塔は日本最古の塔です。現在の五重塔が再建された年は正確には分かっていませんが、中門と同じ時期の711年より前と推定されており、約1300年前に建てられた木造の塔になります。国宝に指定されています。
五重塔の初層には塔本四面具(とうほんしめんぐ)と呼ばれる塑像群が安置されており、金網越しに見ることができます。お釈迦様に関する四つの説話の場面を塑像で表しているもので、国宝に指定されています。
回廊、鐘楼、経蔵
中門から左右に向かって回廊が伸びており、東側では鐘楼、西側では経蔵へつながり、さらに中央で大講堂につながる形で西院伽藍を囲んでいます。回廊は金堂と同じ時期に再建されたと推定されており、国宝に指定されています。
西院伽藍の地図:
回廊:
経蔵は奈良時代に建立されています。鐘楼は一度焼失したあと平安時代中期に再建されています。どちらも国宝に指定されています。なお経蔵、鐘楼、大講堂は、元々回廊の外側にありましたが、回廊が延長されたときにそれぞれ回廊につながれる形になっています。
経蔵:
鐘楼:
大講堂
大講堂は鐘楼と共に落雷により焼失したあと990年に再建されています。国宝に指定されています。大講堂は僧侶が仏教を学んだり、法要が行われる場所で、金堂よりもかなり大きい建物となっています。
大講堂には再建されたときに造像された薬師三尊像(やくしさんぞんぞう)や四天王像(してんのうぞう)が安置されています。
聖霊院
聖霊院(しょうりょういん)は西院伽藍の東側ある仏堂で、聖徳太子の尊像が安置されています。東室(ひがしむろ)の一部分を1284年に改築して聖霊院としました。国宝に指定されています。
聖霊院には3つの厨子(ずし)があり、中央には聖徳太子像、左の厨子には山背大兄王(やましろのおおえのおう)や殖栗王(えぐりおう)の像、右の厨子には卒末呂王(そまろおう)や恵慈法師(えじほうし)の像が安置されています。聖徳太子像を含む5体の像はすべて国宝に指定されています。通常は厨子の内部非公開となっていますが、毎年3月22日のお会式(おえしき)の時だけ一般公開されます。
大宝蔵院
大宝蔵院(だいほうぞういん)は百済観音堂(くだらかんのんどう)を中心に、その両側に東宝殿(とうほうでん)と西宝殿(せいほうでん)が配置された建物で、法隆寺の寺宝を収蔵、公開しています。玉虫厨子(たまむしのずし)や百済観音像(くだらかんのんぞう)などがあります。いずれも国宝です。
東院伽藍
東院伽藍(とういんがらん)は聖徳太子一族の住居であった斑鳩宮の跡地に、聖徳太子を供養するために建立されたものです。夢殿(ゆめどの)の他に礼堂(らいどう)、絵殿(えでん)、舎利殿(しゃりでん)、東院鐘楼(とういんしょうろう)などがあります。
東院鐘楼:
絵殿と舎利殿:
夢殿
東院伽藍の中心にあるのが夢殿(ゆめどの)です。創建は奈良時代ですが、鎌倉時代に大きな改築がされています。八角円堂の形状で、堂内には救世観音像(ぐぜかんのんぞう)が安置されています(通常は非公開)。また屋根の上には特徴的な形をした宝珠が飾られています。
法隆寺の住所およびアクセス方法
法隆寺の住所
法隆寺の住所は「奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1」です。
法隆寺へのアクセス方法
JR奈良駅から法隆寺へのアクセス方法について解説します。
JR 大和路線
11 分
奈良交通 バス
8 分
徒歩
5 分
法隆寺の近くにある観光スポット情報
法隆寺の近くには、他にもいくつかの観光スポットがあります:
東大寺
東大寺は奈良県奈良市にある華厳宗の大本山です。奈良の大仏さまで有名です。聖武天皇の発願により奈良時代に創建され、大仏殿は751年に完成しました。その翌年には大仏の開眼供養が行われています。世界最大級の木造建築物である大仏殿や、国宝である二月堂が人気スポットとなっています。東大寺はユネスコの世界遺産に登録されており、古都奈良の文化遺産の一部です。
奈良公園
奈良公園は奈良県奈良市にある公園です。奈良公園の周辺には数多くの鹿がいることで有名です。奈良公園がどの範囲を含むかは定義によりますが、東大寺、興福寺、春日大社、奈良国立博物館、若草山、春日山原始林などを含む場合もあります。一般的には、周辺の寺社も含めて奈良公園と称されます。
春日大社
春日大社は奈良県奈良市にある神社で、全国に約 1,000 社ある春日神社の総本社です。奈良時代の 768 年に、平城京の守護と国民の繁栄を祈願するために称徳天皇の勅命を受けて、藤原氏により創建されました。平安時代から寄進されてきた約 3,000 基の灯籠を参道や本殿周辺の回廊で見ることができます。春日大社はユネスコの世界遺産に登録されており、古都奈良の文化遺産の一部となっています。
法隆寺に関するその他の情報
法隆寺に関するオフィシャルサイト:
-- --
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
( Written by Tatsuo Ikura )